いろ無し(読み)いろなし

世界大百科事典(旧版)内のいろ無しの言及

【唐織】より

…絹織物の名称,また能装束の一種。〈唐織物〉の語は,室町時代に中国の明から輸入された貴重な織物を指して用いられ,金襴,緞子(どんす)などの美麗な織物が想起される。いわゆる〈唐織〉もそれに含められていたと思われるが,当時〈唐織〉をどのように呼んでいたかは不明である。織物組織的には,名物裂の中の乱絹(らんけん)錦がこれに類似する。〈唐織〉は通常,帯や能装束に用いられるもので,主として生糸を素材に三枚綾地とし,十数色に及ぶ多彩な絵緯(えぬき)によって文様をあらわし,さらに金銀糸が加わる。…

【能装束】より

…とくに赤い色が特殊な色として尊重され,単に〈いろ〉といえば赤い色のことだけを意味する。女性役の装束について,〈いろ入り〉といえば赤系の色を使った装束のことで,《熊野(ゆや)》や《松風》のシテのような若く美しい女に用い,〈いろ無し〉といえば赤系の色を使わない装束のことで,《隅田川》《三井寺》のような中年の女に用いるのが普通のきまりになっている。色の区別でもう一点重要なのは襟の色である。…

※「いろ無し」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」