世界大百科事典(旧版)内の《インディアスの破壊についての簡潔な報告》の言及
【黒い伝説】より
…とくにハプスブルク朝下のスペインの覇権に敵意をもつ国々は,異端審問にみられる宗教的不寛容と残虐な拷問,およびインディアスの征服におけるコンキスタドールの非道な行為を口実に反スペイン運動を展開し,〈黒い伝説〉を作り上げた。そのなかで1552年セビリャで出版されたラス・カサスの《インディアスの破壊についての簡潔な報告》は著者の意図とはかけ離れて,スペイン人によるスペイン人告発の書として〈黒い伝説〉のなかで大いに利用された。〈伝説〉は19世紀初頭スペインからの独立を目指すイスパノ・アメリカでも,政治的に利用された。…
【ラス・カサス】より
…このとき,国王に征服の不当性を明らかにし,その即時中止を訴える報告書を提出。コンキスタドールの非道な行為を弾劾するこの文書は,52年に印刷される《インディアスの破壊についての簡潔な報告》の母体となり,のちヨーロッパ諸国によってスペインを非難する〈黒い伝説〉に利用される。1542年に〈新法〉(インディアス法)が発布され,みずからもチアパス(現,メキシコ南部)の司教に叙階され,44年インディアスへ渡るが,コンキスタドール,植民者や植民地当局の激しい敵意を受け,結局47年,自己の活動の場を宮廷と定め,生涯で7回目の大西洋横断をしてスペインへ帰る。…
※「《インディアスの破壊についての簡潔な報告》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」