世界大百科事典(旧版)内のウタリ問題懇話会の言及
【アイヌ】より
…61年設立,前身は30年設立の北海道アイヌ協会)が同法の即時撤廃と〈日本国に固有の文化を持ったアイヌ民族が存在することを認め,日本国憲法のもとに民族の誇りが尊重され,民族の権利が保障されること〉を求めた,〈アイヌ民族に関する法律(案)〉(略称〈アイヌ新法〉)を全会一致で採択した。 同協会はこの採択をふまえて同年7月,北海道知事・北海道議会議長に〈北海道旧土人保護法〉の廃止と新法制定について陳情書を提出し,北海道知事(横路孝弘)はこれをうけて,ただちに知事の私的諮問機関である〈ウタリ問題懇話会〉を設置した。同〈懇話会〉は,以後アメリカ,オーストラリア,ニュージーランドにおける先住民族政策等を検討したうえで,88年3月,北海道知事に答申書を提出し,そのなかで,現行の〈北海道旧土人保護法〉と〈旭川市旧土人保護地処分法〉を廃止するとともに,(1)アイヌの人たちの権利を尊重するための宣言,(2)人権擁護活動の強化,(3)アイヌ文化の振興,(4)自立化基金の創設,(5)審議機関の新設,などを含む〈アイヌ新法〉(仮称)を制定することを提言(ただし,北海道ウタリ協会が求めた〈国・地方議会にアイヌ民族の特別議席を設ける〉という〈参政権〉については,日本国憲法に抵触するとして否定)したが,こうした内容をもつ新法制定の根拠をアイヌ民族の〈先住権〉に求めたことは注目される。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」