カーティブ(読み)かーてぃぶ

世界大百科事典(旧版)内のカーティブの言及

【書記】より

…宋以後,科挙出身者を中心とした文人士大夫官僚と,実務に携わる胥吏(しより)階級が明確に分かれると,中間的な書記の官は令史の流れをひく胥吏の役目とみなされ,節度掌書記などは武人支配の終焉とともに消滅してしまう。【梅原 郁】
[イスラム社会]
 アラビア語で書記あるいは秘書をカーティブkātibとよび,軍人に対して〈筆の人〉と総称され,イスラム諸王朝の技術官僚として活躍した。公文書の作成は,ムハンマド時代以来一貫してアラブ人によって行われたが,地方の行政文書や租税台帳は,初期の時代には中世ペルシア語,シリア語,コプト語などをよくする現地人の非イスラム教徒によって作成され,8世紀以後,ディーワーンのアラブ化とイスラム化につれて現地人マワーリーとアラブ人ムスリムの書記が増大した。…

【ワジール】より

…しかし,その後カリフ体制の中央集権化を図るうえから,ワジールはカリフの単なる補佐役から,しだいに代務者の役割を果たすようになり,やがて9世紀末近くなると,ほとんどすべての行政機関の統括者になるとともに,ときには各州の総督や税務長官,裁判官の任命権をも掌握し,カリフに代わって国政の全般を指揮した。こうしたワジールの大半はマワーリーの書記(カーティブ)階級出身者かその子孫かで,長年官庁業務に従事し,とりわけ税務関係の諸官庁長官の経験者が多かった。しかし,なかには商人階級出身者や行商から身を起こして財をなし,徴税請負人を経て宰相になった者もいる。…

※「カーティブ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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