世界大百科事典(旧版)内のキリスト仮現論の言及
【キリスト教美術】より
…とくにキリストに関していうと,キリストにおける神性と人性の問題が重要な意味をもつ。キリストは神にして人という考え方が正統派の立場であるが,キリストは神であって人としての姿は仮のものであるとするいわゆる〈キリスト仮現論dokētismos〉,キリストは生まれたときは人であってそれが後に神性を獲得したのだとする説などがある。とくにキリスト仮現論をとれば,キリストを人間の形をもつものとして定着させてしまうことは問題であろう。…
【ドケティズム】より
…〈キリスト仮現論(説)〉と訳される。2世紀以前の初期グノーシス派(グノーシス主義)と神秘宗教から出たもので,キリストは真に肉体の姿をとったのでも,死の苦しみを味わったのでもなく,その受肉と十字架は単なる見かけ,仮象doxaにすぎず,またキリストが無罪であるのはこの世ですでに霊を所有しているからだ,と主張する。…
※「キリスト仮現論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」