世界大百科事典(旧版)内のクォク・グゥの言及
【チュノム】より
…チュノムによるベトナム文学の記録は14世紀ころからといわれるが,今日伝わる著名な文学作品の多くは18~19世紀のものである。20世紀に入るとクォク・グゥquô’c ngũ’と呼ばれるローマ字表記法が国字として普及して,今日ではチュノムは通用しておらず,古典文学もこのローマ字正書法による転写で伝えられ読まれている。【三根谷 徹】。…
【ベトナム語】より
…14~15世紀の頃から,ベトナム語を表記するためにチュノムと呼ばれる文字が漢字(チュ・ニョ〈儒〉の字)から造られて,ベトナム語による長編の物語詩などが書かれ伝えられたが,20世紀に入るとローマ字の普及によりその文字はしだいに用いられなくなった。今日のベトナム語を表記する文字は〈クォク・グゥquô’c ngũ’〉(漢字〈国語〉の字音をあてたもの)と呼ばれるローマ字正書法である。共通語としての文字言語は,主として北部方言を基盤として成立したが,ローマ字で書かれながら,その読みは各地の方言で固有の読み方が行われている。…
【ロード】より
…ベトナムの言語と歴史に通じ,ベトナム語をローマ字で印刷した最も古い文献である《アンナン(ベトナム)語・ポルトガル語・ラテン語辞典》(1651)を編纂・刊行し,またベトナムの通史《トンキン王国史》をラテン語(1652)とフランス語(1653)で著した。ロードが考案したベトナム語のローマ字表記法は,わずかな修正を経て,現代ベトナム語の唯一の書記法である独特のローマ字体系クォク・グゥ(〈国語〉の意)となっているばかりでなく,その辞典の内容はラテン語とベトナム語の対訳による《贖罪を望みキリスト教の信仰に入らんとする者のための8日間の教理問答》(1652)に記述されたベトナム語とともに,17世紀のベトナムの言語を正確に伝える資料として高く評価されている。ペルシアで伝道中イスファハーンで没した。…
※「クォク・グゥ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」