世界大百科事典(旧版)内のコミュニタスの言及
【巡礼】より
…巡礼の順序としては,出発前の身の清め,祝い,ざんげ,道々の礼拝,聖地での礼拝,ミラグロ(奇跡を祈願する奉納品で,足や心臓の形をした小さな金属製品),ペディメント(動物,家など祈願物をかたどった物)やエクス・ボト(絵馬)の奉納,ダンスの奉納,フェリア(市)への参加,川や泉での身の清め,帰路,という順序が普通認められる。 人類学者V.ターナーは巡礼を,日常性の構造であるコミュニティに対置する反構造としてのコミュニタスcommunitasとしてとらえた。彼によればコミュニタスとは,平等で個性にあふれた人々の間に自然に発生する状態であり,特定の実利的目標に向けて構造化された社会の特殊的性格に対して,その普遍的,解放的性格が強調される。…
【通過儀礼】より
…またグラックマンM.Gluckmanは通過儀礼を個人の身分が変化するにあたって,その社会関係が不安定化するのを避けようとする機能をもつものと考えた。ターナーV.Turnerの,変動期の集団に見られる無構造・無体制的状況としての〈コミュニタスcommunitas〉論は,ファン・ヘネップの通過儀礼における〈過渡〉の概念を発展させ,その無限定的属性から象徴論的に儀礼の本質に迫ろうとしたものである。また宗教学的立場からM.エリアーデは,通過儀礼を自然的存在として生まれた人間が,特定の文化のなかで,多くの儀礼を通過することによって,その文化における宗教的人間の理想に近づくプロセスとみなした。…
※「コミュニタス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」