世界大百科事典(旧版)内のサッチャーリズムの言及
【イギリス】より
…産業国有化を含めた公共部門の肥大化には,経済面のみならず政治的自由からの批判が強く,特に79年のサッチャー政権成立後は公共支出削減に思い切った措置がとられた。 官僚制や国家行政体系そのものについては,公共部門削減というサッチャーリズムの全般的な方針や,1980年代以前の辞書にはなかった,半官半民の組織を指すquangos(quasi-autonomous non-governmental organizations)という奇妙な単語がはびこりだしたにもかかわらず,サッチャー政権後期に至るまで,国家公務員組織には根本的な変化は起きなかった。しかし,88年に出された一連の報告“Next Step”以降,国家行政の内部にも可能な限り市場原理を導入し,活用することをめざした改革が急速に実施に移されていく。…
【サッチャー】より
…〈鉄の女〉サッチャーの新保守主義政策は,福祉政策に依存して勤労意欲を失い国際的競争力を低下させた経済界の〈イギリス病〉を克服した。〈サッチャーリズム〉の本質は,イギリス人は国家に頼らずもっと働けというビクトリア朝的な自立精神の鼓吹にあった。公共投資の削減,労働組合の勢力削減,国営企業の民営移管,インフレ抑制策(マネタリズム)を強行したが,反面で貧富の差を拡大させた。…
※「サッチャーリズム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」