世界大百科事典(旧版)内のシネオラマの言及
【映画】より
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【映画と万国博覧会】
技術革新の最先端をいく発明であった映画には,当然ながら科学技術に人間がよせるさまざまな夢,〈人類の未来のイメージを暗示する各種の科学的幻想〉(岩崎昶)をはぐくむ要素があり,その意味では映画がつねに万国博をにぎわす花形であったことは興味深い。そもそもエジソンの〈キネトスコープ〉が初めて公開されたのも,1893年のシカゴ万国博であったし,1900年のパリ万国博には,最初のトーキー映画の試みとして知られるクレマン・モーリスの〈フォノ・シネマ・テアトル〉(蓄音機に合わせて手動式映写機を回した)や,円筒形のスクリーンに風景を映写して観客を包み込んだラウール・グリモアン・サンソンの全周映画シネオラマが出品されて話題を集めた。彼は自伝の中で〈このアイディアをもったのは1896年,万国博が近づくにつれて,私はこの遠大な事業実現のため,具体的に仕事を推進させようと考えた〉と書いていることからも,発明家たちがいかに彼らのテクノロジーの夢を万国博にかけたかが察せられる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」