世界大百科事典(旧版)内のジプシー楽団の言及
【ジプシー音楽】より
…前者の器楽奏者としてのジプシー音楽家の活躍は,例えばハンガリーではすでに15世紀に始まっている。このジプシー音楽家を有名にしたのは,18世紀の終りから19世紀の初めにかけてヨーロッパの大衆音楽をリードした,バイオリンなどの弦楽器と民族楽器ツィンバロムのアンサンブル,いわゆるジプシー楽団の活躍であった。この楽団は当時流行していた大衆音楽はどんなものでも演奏したが,その緩急自在,きわめて情熱的・即興的な演奏のスタイルと主要なレパートリーであったハンガリーの民衆音楽ベルブンコシュverbunkos(新兵募集の行進音楽に由来する)は芸術音楽にも影響を与え,リストやブラームスのハンガリーをタイトルにうたった作品の素材となっている。…
【ハンガリー】より
… 民族楽器としては,管楽器の羊飼いの縦笛(フルヤfurulya),バッグパイプ(ドゥダduda),チター(ツィテラcitera),ハーディ・ガーディ(テケレーtekerő),ダルシマーの一種のツィンバロムなどがある。 器楽の分野ではジプシー(ロマ)音楽家の活躍が目だち,とくに弦楽器とツィンバロムの組み合わせによるジプシー楽団の演奏は,18世紀後半から19世紀にかけて,ハンガリー国内はもちろん,ヨーロッパの大衆音楽に君臨していた(ジプシー音楽)。このジプシー楽団によって演奏される,いわゆる〈ハンガリー風〉音楽は,ブラームスの《ハンガリー舞曲》や,リストの《ハンガリー狂詩曲》の素材となっているものである。…
※「ジプシー楽団」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」