知恵蔵 「スマートシティ」の解説
スマートシティ
2010年ごろから世界各地で実証実験が始まり、先進国、開発途上国それぞれの実情に合わせたまちづくりが進められている。有名な事例としては、二酸化炭素排出量ゼロを目標に、ほぼ全ての電力を再生可能エネルギーでまかなう都市を新たにつくるアラブ首長国連邦(UAE)の「マスダールシティプロジェクト」、スマートメーターの導入によるエネルギー効率の向上などを目指すオランダ・アムステルダムの取り組みなどがある。
日本でも、10年ごろから、政府や行政、民間企業などが各地でスマートシティの取り組みを進めている。当初は、各家庭や事業所などの電力使用量を把握するシステムを導入し、電力需要を調整する(沖縄県宮古島市)、水田周辺に獣を検知するセンサーを設置し、イノシシなどが検知された場合に音や光で追い払い、検知情報を農家や猟友会などにメール配信する(長野県塩尻市)といった特定分野を対象にした事例が多かった。だが、近年では、神奈川県藤沢市が取り組む公共施設や住宅への太陽光発電、蓄電池の整備やシェアサイクル(自転車の共有)、まちの各所への防犯カメラの設置などのような、複数の分野にまたがる包括的なプロジェクトが増えてきている。
(南 文枝 ライター/2019年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報