世界大百科事典(旧版)内のすみ酒の言及
【酒】より
…エチルアルコールを含む致酔性飲料。酒の字は酒壺の形状を示す〈〉から生まれたものと思われるが,古代中国で杜康(とこう)がはじめて酒をつくったのが酉(とり)の年であったためなどとする説もある。本来〈さけ〉は日本の在来酒である清酒,濁酒などをさし,〈き〉〈くし〉〈ささ〉などとも呼ばれた。語源については〈栄え〉のつづまったもの,風寒邪気を〈避ける〉意味の〈避け〉から転じたものなどとされる。 日本の酒税法では,酒は〈アルコール分1度(容量比で1%)以上の飲料〉と定義され,液体に限らず糖類でアルコールなどの分子をくるんだ粉末状のものも酒とみなされるが,みそ,しょうゆのようにアルコールを1%以上含むものであっても嗜好(しこう)飲料として供しえないものは酒から除外されている。…
【清酒】より
…このうち松尾大社は朝鮮からの渡来氏族秦(はた)氏の氏神として701年奉斎されたが,5世紀後半ころこの地に秦の民が集められたさい伴造(とものみやつこ)に任ぜられた秦酒公(さけのきみ)は酒造技術者であったと考えられ,彼らの指導が古代日本の酒造を育成したと考えられる。はじめはいわゆるどぶろく(濁酒)であったが,758年(天平宝字2)の《紀伊国正税帳》に〈酒伍斛(こく)陸斗 清四斛,滓一斛六斗〉とあるように,どぶろくの上澄みを汲んだり,絹篩(きぬぶるい)でこした〈すみ酒(清酒,浄酒)〉がつくられるようになった。 大化改新後,宮内省のなかに造酒司(さけのつかさ)がおかれ,《延喜式》によるとここでこうじを使ってなん種類かの酒がつくられていた。…
【柳酒】より
…柳の酒ともいわれた。室町時代初期から江戸時代にかけて京都産の名酒の代表格とたたえられ,〈松のさかや(酒屋)や梅つぼ(梅壺)の,柳の酒こそすぐれたれ〉(狂言《餅酒(もちさけ)》)と謡われた酒で,貴紳の贈答品としても珍重された。いわゆる〈すみざけ(清酒)〉の好例とみられ,値段も他の良質酒の2倍に近かった。たんに〈柳〉とだけ呼ばれることが多かったが,この名は醸造元の屋号でもあり,樽材に柳の木を用いたのにもよるらしい。…
※「すみ酒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」