世界大百科事典(旧版)内のタノミホンケの言及
【親分・子分】より
…非血縁のオヤコ関係を擬制とみなす近代知識人の考え方は,原型が崩れてのち,欧米文化中心主義の考え方が流入して以後生じた解釈にすぎず,また,中国の家や宗族の制度を標準視した近世儒学風の解釈にもさかのぼる曲解である。
[親分・子分の関係]
同一家系であろうと,他家系であろうと,その別なく,政治的・経済的に劣勢な者が有力な者にオヤ(親分=親方)となってもらい,そのコ(子分=子方)にしてもらって,従属と引換えに庇護を受けるという政治的・経済的な社会関係が,本家・分家の〈家の出自〉による家系(これにも,没落したり絶家したりした本家の代りに,他家系の有力な本家に自家の本家になってもらう,タノミホンケの場合が含まれていた)とずれた形で諸個人のあいだの関係として現れるのは近世末や近代のことである。近代には親分・子分(親方・子方)はもっぱら利害関心にもとづく個人的な対人関係をさすようになり,親分はヤクザや政党の派閥を,親方は職人のそれをだけさす語であるかのように都会では思われてきたが,ムラ社会では,近代にもなお親分・子分,親方・子方という言葉が正常な人格的対人関係をさし,この種の社会関係はムラ人らの生活を支えていた。…
【分家】より
…象徴的にみれば,分家とは本家から土地と火を分けた新しい家である。さらに本家をもたない家や村外から転入して来た家が,村での社会生活の必要上,タノミホンケ,ツクリホンケなどと呼んで契約的に特定の家の分家となる例も東北地方にはしばしばみられる。 日本各地において分家はさまざまな民俗語彙で呼ばれてきた。…
※「タノミホンケ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」