世界大百科事典(旧版)内のダウリの言及
【家】より
…また初潮までに娘の夫を決めることが親の義務とされて,早婚が一般的であり,幼児婚も広くおこなわれた。同じカーストで,異なった氏族でなければならないなど,配偶者の決定にはさまざまな制約があり,婚礼の前には,上級のカーストの場合,多額のダウリ(嫁資。持参金)を払わねばならなかった。…
【婚姻】より
…女性が結婚しないのは家の恥とされ,初潮のときまでに結婚させるという考えが強かったためである。このように女性の地位が低かったため,〈サティー〉とよばれる夫の遺体といっしょに妻が生きながら火葬される殉死,婚姻にあたって花嫁の家から花婿の家に支払われる多額な持参金(ダウリdowry)や,幼時に夫が死亡して処女のまま寡婦として一生過ごす生活など多くの悲劇を生んだ。19世紀以後,これらの悪弊を改革する運動がおこり,〈サティー〉の禁止(1829),寡婦再婚の認容(1856),幼児婚の禁止(1929)といった法律が制定された。…
【持参金】より
…【串田 久治】
【インド】
ヒンドゥー教徒には,古来シュルカśulkaと呼ばれた持参金があり,妻の特有財産として認められていた。大きな社会問題となったのは,婚礼の直前に花嫁の家から花婿の家に現金などを支払う慣習で,英語ではダウリdowryと呼ばれ,上層と中層の人々の間で広く行われた。その額は家族の収入に比べて莫大であって,婚礼費用とともに,多額の債務をつくる原因となり,このため,ダウリを心配した娘の自殺やダウリの少ない妻への虐待などの悲劇が生まれた。…
※「ダウリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」