世界大百科事典(旧版)内のトゥピ語の言及
【トゥピ】より
…ブラジルからアルゼンチン北部にまたがる海岸地帯,アマゾン川本流の上・下流域,マデイラ,タパジョス,シングー,トカンティンスの各支流域に住む。トゥピ・グアラニー語族に属するトゥピ語を話す諸部族の総称で,人口総数は不明。ヨーロッパ人の征服後,トゥピ語はブラジルのアマゾン流域で一つの共通語(リングア・ジェラル)となった。…
【ブラジル】より
…ポルトガル植民者の移住数は不明であるが,初期には男性偏重の移住形態を示し,混血が急速に進展した。トゥピ語はイエズス会宣教師によって体系化され,初期にはリングア・ジェラルlingua geralと呼ばれる共通語として植民者,現地生れの混血層,非トゥピ語族間にも広く使用された。アフリカからは主としてサトウキビ栽培の奴隷労働力として約360万人の黒人(おもにバントゥー族,ヨルバ族)が強制移住させられ,ことにサン・パウロからマラニョンに至る沿岸地帯では人口の圧倒的多数を占めたが,死亡率が高く,また混血も進行した。…
【ポルトガル語】より
…文法や語彙の面ではスペイン語との類似が顕著であるが,ラテン語の直説法現在完了形,過去完了形に由来する形態(後者はおもに書き言葉で使われる)が元来の用法に近い機能を果たすなど保守的な傾向を示す一方,独得の〈人称不定法〉を発達させている点などが注目される。ブラジルのポルトガル語は,音韻・文法・語彙・正書法の各側面においてポルトガルのポルトガル語と相違を見せる(iに先立つt,dの口蓋化,補語人称代名詞を動詞に前置させる傾向,先住民族の言語たるトゥピ語Tupiからの借用語など)が,両者の関係は同一言語の二つの〈変種〉としてとらえるべきものである。 なお,16世紀半ばから約100年にわたる,通商上また布教上の目的で来日したポルトガル人の活動を通じ,少なからぬポルトガル語の単語が日本語に取り入れられた(〈パン〉〈ボタン〉〈イギリス〉など)ほか,日本語の辞書・文典などがポルトガル語を用いて作成され,当時の日本の言語・文化を知る上で貴重な資料となっている。…
※「トゥピ語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」