世界大百科事典(旧版)内のハウ,I.の言及
【イディッシュ文学】より
…現在,イディッシュ文学に関して特筆すべき点は,とりわけそれがアメリカ文学の世界に及ぼした影響であり,60年代からとみに際立った活動を示しているS.ベロー(1915‐ ),B.マラマッド(1914‐86),P.ロス(1933‐ )などユダヤ系アメリカ作家の描く人間像には,イディッシュ作品に頻出するシュリマズル(不運な人間),シュレミエル(善良な愚者)の原型像が二重写しの形で顕在的・潜在的に表現されている。また,1935年にナチスの恐怖を逃れてアメリカに亡命したI.B.シンガー(1904‐91)は,表現媒体としてイディッシュ語に固執し,ポーランド・ユダヤ人の境涯を素材にとっておびただしい作品群を創造しているが,彼を含めたユダヤ系文学の世界を支持,普及させている基盤は,ニューヨークで発行されている諸イディッシュ語新聞の読者層と,評論家I.ハウ(1920‐93)を筆頭にイディッシュ語の英語翻訳にたずさわっている文学者集団の存在であることを見逃すわけにはいかない。【邦高 忠二】。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」