世界大百科事典(旧版)内のハガダーの言及
【過越の祭】より
…エジプト人の奴隷であったユダヤ人の先祖が,モーセに率いられてエジプトを脱出したとき,神はエジプト中の初子(ういご)を殺したが,小羊の血を入口に塗ったヘブライ人の家だけは過ぎ越したという故事に由来する。最初の晩にセデルと呼ばれる正餐を催し,小羊,苦菜,種入れぬパンを食べ,〈ハガダー〉と呼ばれる出エジプトに関する物語を読んで,先祖がエジプトの奴隷の身分から救い出されたことを記念する。共観福音書は,イエス・キリストの〈最後の晩餐〉がセデルであったと伝える。…
【タルムード】より
…第2のハラハーHalakhah(原意は〈歩き方〉)は,法規を意味するが,その権威の基盤は,成文律法だけではなく,古代から受け入れられてきた慣習,権威ある律法学者の判定,学者たちの多数決など,要するにユダヤ人共同体成員の正しい〈歩き方〉を律すると考えられたすべての権威を含んでいた。第3はハガダーHaggadah(説話)で,聖書の中の非法規的物語や,民話,伝説などに基づく教えである。 これらの口伝律法は,師(ラビ)から弟子に教授され,世代から世代に伝達されながら発展していった。…
【ミドラシュ】より
…こうして,律法学者,あるいはラビと呼ばれる人々が,多くのミドラシュ(複数ミドラシーム)を書き残した。ミドラシュは内容によって,口伝律法を扱った〈ハラハーHalakhah〉(法規)的なものと,それ以外の〈ハガダーHaggadah〉(説話)的なものに分類される。叙述形式としては,聖書の一句一句を解釈する注解型,特定の聖句に基づく説教型,聖書物語を主題とする物語型がある。…
※「ハガダー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」