世界大百科事典(旧版)内のバジュラの言及
【インドラ】より
…元来,雷霆(らいてい)神の性格が顕著で,ギリシアのゼウスや北欧神話のトールに比較しうるが,《リグ・ベーダ》においては,暴風神マルト神群を従えてアーリヤ人の敵を征服する,理想的なアーリヤ戦士として描かれている。中でも,工巧神トバシュトリの作った武器バジュラ(金剛杵)を投じて,水をせき止める悪竜ブリトラを殺す彼の武勲は繰り返したたえられている。彼はブリトラハン(ブリトラを殺す者)と呼ばれているが,ブリトラハンはイランの勝利の神ウルスラグナに対応する。…
【金剛】より
…〈堅固なるもの〉という意味であるが,普通には〈金剛石〉(ダイヤモンド)または〈金剛杵(こんごうしよ)〉を指す。サンスクリットのバジュラvajraの訳。バジュラはもとインドラ神の武器で,雷またはそれをかたどった杵形の武器のことであるが,この武器は,それ自身何の影響も受けることなく他のあらゆるものを破壊することから,〈堅固〉と〈摧破(さいは)〉の二つの属性をもつとされ,物質として最も硬いダイヤモンドを意味するようにもなった。…
【金剛杵】より
…また,密教で用いられる法具の一種。サンスクリットのバジュラvajraの訳。バジュラは,把手の両端に鋭い刃のついた杵形の武器で,雷をかたどったものといわれ,本来は雷霆(らいてい)神インドラの所持物であったが,のち仏教では,この武器を持った神(執金剛神)がいつも影のように仏につき従い,仏を守護していたと考えられた。…
※「バジュラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」