世界大百科事典(旧版)内のバーティンの言及
【イスラム】より
… 長い歴史の間に,ハワーリジュ派,シーア派とも極端な行動と主張に走るものがあった。アズラク派は無差別な殺戮で恐れられ,イスマーイール派は,コーランには文字どおりの(ザーヒルẓāhir)解釈のほかに隠された(バーティンbāṭin)奥義的解釈があり,それはムハンマドからアリーを経て代々のイマームに伝授されたと主張し,バーティン派とも呼ばれた。このような主張は,イスラムと無縁な個人崇拝を容認するものとして,スンナ派から厳しく非難されたが,シーア派の一派にはイマームに超人間的な性格を付与し,最も極端な論をなすものは,アリーおよびその子孫のイマームを神の化身とみなすにいたった。…
【ドルーズ派】より
…この教義はエジプトでは受け入れられず,同じくカイロにいたダラジーDarazī(生没年不詳)によりシリア山間部に伝えられたとされ,呼称もこれに由来する。 コーランの内面的意味を強調するバーティンの教義に基づいてハーキムを神の最終的体現であるとして〈我らの主〉と呼び,その死を認めず,〈隠れ(ガイバ)〉からの再現を期待する。ハーキムの下に神から流出した五つの創造的原理の各体現者としてハムザら5人を置き,その下に宗教的指導に当たるべきダーイー,マーズーン,ムカッシルの三つの機能集団を置く宇宙論的階層組織を認める。…
※「バーティン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」