世界大百科事典(旧版)内のヒュアキンティアの言及
【植物】より
…しかしながら,農民はそれだけでは満足せず,森や山から樹霊を招来するばかりでなく,みずからの耕している大地の中に新しい神を設定する。例えば古代ギリシア人はヒュアキンティアHyakinthiaなる祭りを行ったが,この祭りは,アポロンの誤って投げた円盤があたって死んだ美少年ヒュアキントスを記念する春祭である。ところで,このヒュアキントスは実はヒアシンス,あるいは類似の植物を人格化,神格化したものであると考えられる。…
【ヒアシンス】より
…ただし,ギリシア時代にそう名づけられた花と現在のヒアシンスとが同一であるという保証はない。ヒュアキントスの死後,スパルタでは彼の死を記念するために毎年初夏にヒュアキンティアという祭りが行われた。この祭りは,現実的には多年生の球根植物であるヒアシンスが,初夏に花を咲かせてその後すぐに地上部分を枯死させ,来年に備えるという植物学上の事実を象徴的に演じたものであり,そこからヨーロッパ古代世界における死と復活の哲学の存在をくみとることが可能である。…
【ヒュアキントス】より
…特異な接尾辞(‐nth‐)をもつヒュアキントスの名は,本来ギリシア先住民族のもので,おそらく彼は死んでよみがえる穀物の精であったと考えられるが,その崇拝がのちに到来したアポロンにとって代わられた事実の説明として,上記の神話が生じたのであろう。アミュクライをも含めて広くドリス人の町々では,毎年夏至のころにヒュアキンティアHyakinthia祭が行われていた。【水谷 智洋】。…
※「ヒュアキンティア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」