世界大百科事典(旧版)内のフィルンの言及
【雪渓】より
…夏にも溶けきらずに越年する雪渓を越年性(多年性)雪渓(万年雪)といい,日本アルプスでは10~20年間も越年する雪渓が知られている。越年性雪渓では,積雪層が融解と凍結を繰り返すうちに氷化して密度0.5g/cm3以上の固い雪(フィルンfirn)となる。雪渓がそのまま成長して厚く,大きくなれば氷河となるが,氷河が流動するのに対して雪渓は流動しない点で両者は異なっている。…
【雪食作用】より
…とくに雪どけ時に生じる〈底雪崩〉では,こうした作用が顕著である。また雪渓では,積雪の密度が大きくなって,氷に近い雪(フィルンfirn)になるので,積雪層が斜面上をゆっくりと滑り落ちる際,底面の岩盤に浅いすり傷をつけることも知られている。これらも雪食作用である。…
【氷河】より
…したがって海水が凍ってできる海氷や,陸水が凍ってできる湖氷,河氷,凍土などを除いた地表の氷を指す。積雪は融解・凍結のある所では比較的速く(1~数年程度),また融解の起こらない寒い所ではゆっくりと(数百年程度),したがって雪面から数十m下で,フィルンFirn(ドイツ語)と呼ばれる状態を経て氷に変わる。これは氷の結晶の成長によるもので,それに伴って比重が増す。…
【万年雪】より
…こうした雪は,雪の結晶と結晶の間にある空隙がつながっていて完全な氷になっておらず,雪と氷の中間的な性質をもっている。これをフィルンfirnまたはネベnévéという。以前はフィルンのことを万年雪と呼んだこともあるが,現在ではフィルンを積雪の物理的性質を表す名称とし,万年雪はフィルンからなる越年性雪渓を指すというふうに両者を区別して用いるのがよいとされている。…
※「フィルン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」