世界大百科事典(旧版)内のブール象嵌の言及
【戸棚】より
…それ以前は櫃(ひつ)が衣装を収納する唯一の家具であった。ルイ14世の宮廷家具師A.C.ブールは黒檀に象嵌細工を施した,一般に〈ブール象嵌〉として称賛された華麗な衣装戸棚を製作した。次のルイ15世時代の衣装戸棚はロココの邸館の壁面装飾の繰形と調和して流麗で軽快なデザインである。…
【ブール】より
…ブールの名声が拡大するにつれて,フランスはもとより,スペインのフェリペ5世やバイエルン選帝侯など外国王室からの注文も絶えなかった。ブールの家具デザインは,前代までの建築意匠に従属した地位から脱して,自立した芸術的意匠を表現したことと,黒檀の黒地にシンチュウ,べっこう,貝殻などを象嵌し,神話,草花模様,アラベスク,唐草などのモティーフを表現した〈ブール象嵌Boulle marquetrie〉で家具を装飾した点に特色がみられる。1708‐09年ベルサイユ宮殿グラン・トリアノンのルイ14世の寝室用に製作したコモード,ルーブル美術館蔵の衣装戸棚とバイエルン選帝侯のための机などは彼の代表作である。…
※「ブール象嵌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」