世界大百科事典(旧版)内のボカージュの言及
【アルモリカン山地】より
…大西洋とイギリス海峡にはさまれ,温和な冬と豊かな降水(平均年800mm)の海洋性気候下にある。森林は開拓されて生垣に囲まれた畑地と牧場となり,ボカージュとよばれる独特の景観を示す。農家はボカージュの中に散在,孤立して生活し,とくに内陸部では,20世紀はじめまで多くの伝統的な習俗(言語,祭り,髪形など)を純粋に保ってきた。…
【シャンパーニュ】より
… 〈湿潤シャンパーニュ〉は,不透水層の粘土層や砂岩が地表近くにあり,沼沢地が点在し,水流も多く,森林や草地に覆われている。農地はボカージュ(畦畔林)で囲まれており,その中に農家が散村状に点在している。まとまった小村には修道院や領主が開いた新田村に起源をもつものもみられる。…
【パリ盆地】より
…盆地中央部のイル・ド・フランスや北部のピカルディー,南部のボースなどは大規模経営の小麦やテンサイ栽培で特徴づけられ,広々とした台地面に塊状の集村が点在する。これに対して盆地西部のノルマンディーでは酪農やリンゴ栽培を主体とし,畑地を林で囲ったボカージュ景観が卓越する。白亜が露出する盆地東部のシャンパーニュでは,やせた土地を生かしてシャンパンの生産が行われている。…
【フランス】より
… 土地利用以上に人の目をひくものの一つは,耕地の形状である。ブルターニュ,バス・ノルマンディー,バンデなど西フランスでは,ボカージュbocageと呼ぶ畦畔林に囲まれた耕地が視界を遮り,森林率は低いものの,風景としては森林に満ちた地方の印象を与える。その成立の理由は,防風のため,土壌の乾燥を防ぐため,家畜を囲い込むため,独立の精神が旺盛であるため,薪炭を得るためなど,さまざま挙げられて議論されている。…
※「ボカージュ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」