世界大百科事典(旧版)内の《マリアの福音書》の言及
【マリア】より
… マリアに関する記述は,福音書にはあまり多くはなく,〈聖告(受胎告知)〉(《ルカによる福音書》1:26~38),〈エリサベツ訪問〉(同1:39~56),〈キリスト降誕〉(同2:4~7),〈学者(教師)たちの間のイエス〉(同2:41~51)などキリストの幼年時代に登場するほかは,キリストの公生活以後は〈カナの婚礼〉(《ヨハネによる福音書》2:1~11),〈磔刑〉(同19:25~26)に名を出す程度である。しかし,〈神の母〉としての存在が時代の進展とともにしだいに重要視されるに従って,マリアに関する民間説話も東方各地でその数を増し,〈アポクリファ(外典)〉として《マリアの〈ゲンナ〉》《マリアの福音書》のほか,《ヤコブ原福音書》《キリスト幼児のアルメニアの書》などに記述があり,西方では中世盛期に《黄金伝説》の中に聖母伝が編入されて民間に流布した。またそれらとは別に,マリアの出現や事跡が旧約聖書の随所にすでに預言予示されていたとする,一種の聖書解釈学(テュポロギア)が発達した。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」