世界大百科事典(旧版)内のマーベリー,W.の言及
【マーベリー対マディソン事件】より
…また,共和派的な考えをとる人々の間では,合衆国最高裁判所の憲法判決があっても,州の機関はそれと別の解釈をする権限があるという見解が有力であった。マーベリー対マディソン事件は,コロンビア地区の治安判事に指名(1801)されていたものの,政権交替によって辞令の交付を保留されたマーベリーWilliam Marburyほか3名が,1789年の司法部に関する法律〈裁判所法Judiciary Act〉13条に基づき,国務長官マディソンを被告として,辞令の交付を強制する職務執行令状の発給を求めて直接合衆国最高裁判所に提起したものだが,判決は具体的には1789年の裁判所法の中の合衆国最高裁判所の管轄権に関する一規定を違憲としたにすぎない。しかし,そこでの首席裁判官J.マーシャルの意見は,合衆国が成文憲法を制定しこれを国の最高の法とした以上,何が法であるかを明らかにする責務を負う裁判所としては,憲法の意味を明らかにし,憲法より下位の法がそれと矛盾するときは下位の法を無効としなければならないのは当然であると述べて,暗に上記の共和派的発想を否定した。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」