世界大百科事典(旧版)内のムデーハル様式の言及
【ムデーハル】より
…【花田 宇秋】
[美術]
再征服後のスペインにおいて,キリスト教建築の中にイスラム芸術の伝統が存続するが,その理由は高度なイスラム文化への憧れ,ムデーハルの廉価な労働力,石材の乏しい地方ではイスラム風煉瓦構造が適当であったこと等々である。この,いわゆる〈ムデーハル様式〉建築の特徴は,菱形網目や多弁形アーチ状に煉瓦を積んだり,それとタイルを組み合わせた装飾的外壁,馬蹄形・多弁形アーチ,リブ付ボールトを用いた円蓋,タイルやスタッコによるアラベスク模様,彩色格子天井などに表れている。ムデーハル様式は12~13世紀にはロマネスク建築に取り入れられ(サアグンSahagúnのサン・ティルソ教会,トレドのサンティアゴ・デル・アラバル教会と旧シナゴーグ,サンタ・マリア・ラ・ブランカ),14世紀にはゴシック建築と結びつく(グアダルーペGuadalupeの修道院)。…
※「ムデーハル様式」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」