知恵蔵 「メタゲノム解析」の解説 メタゲノム解析 土壌や河川などの環境中には多種多様な微生物が生存している。どのような微生物がいるのかを調べるには、従来は、まず、人間の手によって環境中から微生物を分離し、培養して、増殖させることが必要であった。しかし、環境中の微生物のほとんどは人為的な培養が難しく、研究は困難であった。培養という過程を経ずに、環境中の微生物がもつ核酸、遺伝子、DNAのすべてを抽出、収集し、これらの構造(塩基配列)を網羅的に調べれば、個々の核酸や遺伝子がどの微生物由来かはわからないものの、環境中の微生物の集合体(コミュニティー)がもつ遺伝子群が分かる。このような手法をメタゲノム解析と呼び、その研究分野をメタゲノミクス(metagenomics)と呼ぶ。メタゲノム解析により、その生態系全体で、どのような物質代謝(物質の変化の流れ)が起こっているのかが推測できるし、また、環境中に存在している有用な遺伝子の発見も期待されている。 (川口啓明 科学ジャーナリスト / 菊地昌子 科学ジャーナリスト / 2008年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報 Sponserd by