世界大百科事典(旧版)内のメンフィス神学の言及
【エジプト】より
…これら諸神の並存する世界に秩序を与えるため,神々を家族に構成し,特殊な職業の守護神と見なし(プタハは工人,クヌムは陶工,トートは書記,アヌビスはミイラ作りなど),宇宙創造神話を軸とする神話の体系化(〈神学〉)を試みた。太陽神アトゥムを創造神とするヘリオポリス神学,4組の原初の男女神(のち月神トート)を創造神とするヘルモポリス神学,市神プタハの言葉による天地創造のメンフィス神学などが知られている。うちヘリオポリス神学がアトゥムに代わってラーを創造神とし,冥界の支配者オシリスとその子ホルスを神々の系譜に加えて優勢となり,創造神は太陽神ラーという観念が定着,新王国の国家神アメン・ラーのように,他の神々もラーとの習合により創造神の地位を正当化した。…
【メンフィス】より
…中王国時代以降も下エジプト第1州の州都,下エジプト行政の中心地,遠征隊・交易隊の発着基地として政治的・経済的重要性を保ち続けた。宗教的にも市神プタハは〈言葉〉による天地創造(〈メンフィス神学〉)によって特異な地位を占め,工芸の神として広く崇拝された。アレクサンドリア建設後はプタハの聖牛アピス信仰の中心地として宗教都市の性格を強めた。…
※「メンフィス神学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」