アポーハ説(読み)あぽーはせつ

世界大百科事典(旧版)内のアポーハ説の言及

【ダルマキールティ】より

…認識論においては,認識される内容は認識主観の上に現れた形象であるとする唯識説に形象真実と形象虚偽の2説あることを明かし,かつそれらをも否定する中観の立場をも示した。また言語哲学においては,言葉は実在を表示しないとするアポーハ説を推し進め,言語のもつ仮構性とそれに裏打ちされた世俗的な有効性,表現機能を解明した。主著《量評釈》はとくに難解で,インドとチベットで膨大な注釈書群を生み出した。…

【ディグナーガ】より

…《因明正理門論》《集量論》の二大主著において,従来の諸派の説を批判して,唯識思想に立脚して仏教論理学を組織し,新因明(しんいんみよう)といわれる新論理学説を形成した。その特色は,(1)正しい認識の根拠(量)を知覚(現量)と推理(比量)の二つに限定したこと,(2)知覚を思惟を含まないもの(現量除分別)と定義したこと,(3)推理の形式を宗(主張)・因(理由)・喩(比喩)の三支作法としたこと,(4)正しい因の備えるべき三条件(因の三相)を明確にしたこと,(5)さらに知覚の対象となる個別相(自相)と一般相(共相(ぐうそう))を峻別し,後者を〈他者の排除〉によって仮構された非実在にすぎないとするアポーハ説を説いたこと,などが挙げられる。彼の論理学はその孫弟子であるダルマキールティによって継承発展させられた。…

※「アポーハ説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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