世界大百科事典(旧版)内のウンナン神の言及
【ウナギ(鰻)】より
…岐阜県郡上郡美並村の粥川では妖怪退治にこの川のウナギが虚空蔵菩薩を加護,案内したとして住人はウナギを決して捕獲せず,明治初年までこの禁を犯すと村八分の制裁を受けた。旧仙台藩領に特徴的に分布するウンナン神はウナギ神で,近世初期の新田開発と洪水の頻発から,ウナギは洪水を起こすものとして,これを慰撫(いぶ),祭りこめたものと考えられる。ウンナン神社の多くは湧水地や水流の近く,さらに落雷の跡に祭られるなど水神,作神的性格が強い。…
【洪水】より
…沖縄では,霊魚が人間の言葉で津波の予告をしたという伝説があり,宮古の伊良部島には津波の直前,ヨナタマ(人魚)の声に気づいた母子だけが難をのがれた話が伝わる。陸前地方にはウンナン神(鰻神)が多く分布するが,やはり白髪のウナギが洪水を予告した伝説がある。水の霊が洪水という破局の前に,魚や人の声で予告することは,裏返せば終末から人間を救う行為と考えられ,これらの伝説の成立には宗教者の関与がうかがわれる。…
※「ウンナン神」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」