世界大百科事典(旧版)内のスッポンの言及
【歌舞伎】より
…〈七三〉の位置は,現在は舞台から3分,揚幕から7分(実際にはもっと舞台に近い)となっているが,古くは揚幕から3分の位置だったといわれる。花道にある〈スッポン〉は原則として人間以外の精や霊,妖怪,怨霊,忍術使いなどの出入りに用いる〈セリ上げ〉〈セリ下げ〉の機構である。すなわち,花道を歩かせない形で,効果的,印象的に役者を出没させるために案出されたものにほかならない。…
【劇場】より
…
[独自の舞台機構の開発]
宝暦年間(1751‐64)には,舞台機構の上での改新的な数々の技術改革が実施された。セリ上げ(1753),狂言作者並木正三による回り舞台(1758)の発明,スッポン(1759),がんどう返し(1761),次の明和期には引割り,さらに1789年(寛政1)には田楽返しが創案されて,歌舞伎の演出上多彩な展開を可能とした。すでに歌舞伎劇場の舞台面では,1761年には舞台上の破風屋根を除去したし,目付柱・脇柱も撤去して独自の展開をすすめる条件が整えられた。…
【花道】より
… 花道の,揚幕から7分,舞台から3分(現在の劇場ではもう少し舞台寄り)の定位置を〈七三(しちさん)〉と呼び,登・退場を印象づける演技が行われる。そこには〈スッポン〉と名付けられた亡霊などの出現や消滅のための小型の〈迫り(せり)〉(昇降装置)も設けられている。なお,文化・文政期(1804‐30)までは逆に舞台から7分の位置を〈七三〉と称した。…
※「スッポン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」