世界大百科事典(旧版)内のタイユバンの言及
【フランス料理】より
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[歴史]
フランス語で書かれた最初の料理書の出現をもって,フランス料理の出発点とするならば,それは中世末期のことになる。つまり,シャルル5世の料理長になったタイユバンTaillevent(1326?‐95)の《ル・ビアンディエLe viandier(食物譜)》がそれである。この本の内容から推定すると,中世の料理は煮込み,濃厚なスープ,パイ料理などが中心で,材料がなんであったかわからぬほどに突きつぶし,これに多種かつ多量の香辛料を加えたピュレー状のものが多く使われたことがわかる。…
【料理書】より
… 料理書をヒント集とする観点に立つと,メソポタミア出土の粘土板に刻まれた楔形文字による食料の在庫一覧のようなものを料理書の始まりということもできようし,古代ギリシア・ローマにおいてすでに料理書と目されるものがあったことは諸種の断片よりうかがわれるが,現存する料理書の始祖は古代ローマ時代の紀元1世紀の初めに成ったとされる,ガウィウス・アピキウスの《料理について》とするのが定説である。 中世以降の料理書を,フランスを中心として見ていけば,まず,フランス王に仕えたタイユバンの《食物譜》(1390?成立)があり,匿名で書かれた《パリの家政》(1393?成立。その一部が料理に当てられている)がある。…
【料理人】より
…一つは王侯貴族(後にはブルジョアも含める)に仕えるものであり,いま一つは街中の不特定多数の顧客を対象とする料理人である。前者で後世に名を残した最初の人は14世紀にフランス王に仕えたタイユバン(1312?‐95)であり,この系譜の料理人は18世紀の貴族社会,19世紀の帝政時代にその全盛期を迎えている。後者は,13世紀ころから各種の団体(組合)のあったことが認められている食品加工業者に始まり,わが国でいう仕出し業的なトレトゥールを経て,フランス革命を契機として盛んになったとされるレストランの隆盛に伴い,その職業を確かな存在とし,現在では料理業界の中心となっている。…
※「タイユバン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」