ティンダル,M.(読み)てぃんだる

世界大百科事典(旧版)内のティンダル,M.の言及

【啓蒙思想】より

…この立場の裏づけをなすものが,教義といえどもその真理性の根拠は理性にもとづく,ないし理性を超えたものであってもすくなくとも理性に反しそれに矛盾したものであってはならぬとする理神論の考えにほかならない。理神論は,ロックからティンダル,トーランド,コリンズにかけて洗練され,また,フランスのボルテール,ドイツのレッシングらもこの立場による。レッシングらの場合,非キリスト教的宗教への一定の寛容がみられるのは注目に値しよう。…

【理神論】より

… 宗教を理性と調停するこの合理主義神学の信条は,最初17世紀の哲学者チャーベリーのハーバートHerbert of Cherbury(1583‐1648)によって定式化されシャフツベリー(三代伯)により狂信の排撃と批判の論拠として用いられたが,この主題が世間の注目を集めるに至ったのは,1696年にトーランドの《キリスト教は神秘的でない》の公刊に際して国教会の護教論者がこれに攻撃を加えたのを機に,いわゆる理神論論争が勃発したためである。この論争に登場した代表的な理神論者としては,《天地創造と同じく古いキリスト教》(1730)のティンダルMatthew Tindal(1653か57‐1733)や《自由思想について》(1713)のコリンズJohn Anthony Collins(1676‐1729),当時の大物政治家で文筆家たるボーリングブルックなどが知られる。この時期宗教上の教義の批判は相対的に自由であり,一時代前の宗教的熱狂への反動としての宗教上の無関心が寛容の社会的基盤を作っていたけれども,逆に一応の社会的自由を得て満足した市民層の保守的な常識道徳が,彼らの間に極端な合理主義への反発を生み出していたことや,理神論者側の思弁の不徹底さや皮相さが,既存の国教会派の体制の保持する有利な社会的特権とあいまって理神論者側の立場を弱体化し,本場のイギリスでは結局思想の主流とならず,したがって後世への永続的な影響を残すには至らなかった。…

※「ティンダル,M.」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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