ニールセン,A.(読み)にーるせん

世界大百科事典(旧版)内のニールセン,A.の言及

【スター】より

…そして,やがて〈ハリウッドの活力源〉といわれた宣伝によって〈妖婦〉セダ・バラ,〈禁じられたエロティシズム〉ルドルフ・バレンティノ,〈火の玉〉ポーラ・ネグリ,〈女王〉グロリア・スワンソンといったスターがつくられた。スターは映画が〈企業〉になるとともに生まれ,アメリカばかりではなく,すでに第1次世界大戦前,チャップリンが師と仰いだフランスの喜劇王マックス・ランデル,ヨーロッパにおけるサイレント映画の伝説的なスーパースターであったデンマーク女優アスター・ニールセン(1883‐1972)やイタリア女優リダ・ボレリ(1884‐1959)やロシア人の俳優イワン・モジューヒン(1889‐1939)らがいたが,一般観客つまり小市民層の生活感情の中に潜んでいるロマンティシズム,英雄崇拝,恵まれない物質生活によって抑圧された性的欲望を利用して,スターを商品化して〈スター・システム〉をつくりあげ,企業の要求を満たしたのはアメリカ映画すなわちハリウッドであった。 スター・システムは,映画の内容すなわち芸術的な価値を人気俳優の価値,いわゆるスター・バリューにおきかえるものであったが,1910年代のなかばにはこのシステムが映画界を支配し,第1次大戦後の約10年間に世界映画市場の90%を占めたといわれるアメリカ映画の世界制覇の基礎となり,名まえが世界中に身近な存在として知れわたったスターがハリウッドを代表した。…

【デンマーク映画】より

…同じころイタリアがスクリーンの〈ディーバ(女神)〉を生み出してハリウッドの〈スター・システム〉の模範となったように,デンマークはロマン主義文学から生まれた〈ファム・ファタール(運命の女)〉を〈典型的な映画的人物に作りあげてバンプと名付け〉(ジョルジュ・サドゥール《世界映画史》),セックスを夢という名の商品にして売り出して世界を制覇するハリウッドのお手本となるのである。とくに目のふちに黒いくまをつくり,ほおが落ちくぼんだ凄絶な美に輝く〈悲劇女優〉,アスタ・ニールセンAsta Nielsen(《深淵》1910,《テンプテーション》1911)は国際的な人気スターとなり,〈北欧のドゥーゼ〉〈スカンジナビアのサラ・ベルナール〉などとも呼ばれた。 しかし,ニールセンは夫のガーズ監督とともにドイツに去り,やがてデンマーク映画はドイツの表現主義映画(表現主義)にとって代わられる。…

※「ニールセン,A.」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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