パヤン,A.(読み)ぱやん

世界大百科事典(旧版)内のパヤン,A.の言及

【酵素】より

… 酵素はこのようにして,日常生活に不可欠な存在として人類と深いかかわりをもってきたのであるが,その存在と実体が認識されたのは,近々,わずか数百年前のことであった。
[酵素研究の歩み]
 上述のように,発酵という微生物の細胞の働きを通して,その実体がなんであるかは不明のまま,人類は酵素を有効に利用してきたのであるが,酵素を生命体から抽出単離して利用することが可能であることを実証したのは,パヤンAnselme Payen(1795‐1871)とペルソJean François Persoz(1805‐68)による酵素ジアスターゼの発見・命名(1832)と,麦芽の無細胞抽出液によるデンプンの糖化の達成(1833),さらにT.シュワンによる胃液中の消化酵素の発見(1836)とペプシンの命名がこれに続くいくつかの先駆的業績のきっかけとなった。 酵素はこうして生命現象そのものと決して不可分ではないという認識がしだいに深まってきたが,有名なJ.F.リービヒとL.パスツールの生気論争,またE.ブフナーによる酵母の無細胞抽出液によるアルコール発酵の達成(1896)を頂点として,酵素分子が生体内の代謝を行うタンパク質性の触媒であることへの理解が深まっていったが,決定的な証拠はまだ得られなかった。…

【ジアスターゼ】より

…デンプンを分解する酵素に用いられた名称で,1833年に,フランスのパヤンAnselm Payen(1795‐1871)とペルソJean François Persoz(1805‐68)によって麦芽から分離された。主成分はアミロースを分解するアミラーゼである。…

【セルロース】より

…セルロースは自然界で最大量の有機化合物であり,おそらく世界中の全植物質の1/3を占めるだろう。セルロースの命名は,1838年フランスのパヤンAnselme Payen(1795‐1871)によって,高等植物の細胞(セル)壁を構造する糖の意味でなされた。セルロースは古来衣類に用いられてきたが,工業的に利用しようという試みは近代工業とともに興った。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」