ブロート,M.(読み)ぶろーと

世界大百科事典(旧版)内のブロート,M.の言及

【カフカ】より

…父親は強壮頑健な立志伝中の商人であり,カフカは生涯この父親の圏内に生きる思いに苦しめられたが,のちにその葛藤を強い内省的な抽象過程を経て作品に定着させていく。 比較的孤独な幼年時代ののち,ドイツ語のギムナジウムを経て1901年プラハのドイツ大学に入学,終生の友マックス・ブロートMax Brod(1884‐1968)と知りあい,06年法学博士,08年プラハのボヘミア王国労働者傷害保険局に勤務して公務員となった。その間,社会主義,無政府主義,チェコ独立運動,自然療養主義,東ユダヤ文化などへの傾斜が随時見られるが,最大の関心はいかにして書いて生きるかにあった。…

【城】より

…城の使者と名のるバルナバスの家はKを歓迎するが,これは実は村から排除され,Kによって城との関係修復をはかろうとする家族であり,たまたま官吏のビュルゲルがある手段を教えるかに見えるとき,Kは疲労のあまりこれを聞きのがしてしまう。ほぼ1週間にわたるこのKの苦闘を記録して作品は中絶しているが,カフカが親友マックス・ブロートに語ったところによると,死の床にあるKに,ようやく城からの条件つき滞在許可が届く結末であったという。 第2次大戦以後数多くの解釈を生んできた作品であるが,その執筆がカフカ自身にとって精神的な治療を意味していた《城》は,矛盾をはらみながら生命を構成している内面の張力関係を隔絶された冬の世界のなかに投影して,制度と隷属のなかでの意味付与の問題を扱ったものといえよう。…

※「ブロート,M.」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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