世界大百科事典(旧版)内のマリア崇拝の言及
【ゴシック美術】より
…南扉口をキリストと新約聖書,聖人たちにささげ,北扉口を聖母と旧約聖書の題材にささげるなど,図像内容の豊富さと整備の点でも第一等の例である。中世キリスト教信仰の人間化の傾向の一つを示す民衆の聖母マリア崇拝にこたえて,聖母に扉口装飾をささげることはゴシック美術の新しい一面で,サンリスの正面にはじまり(1190ころ),シャルトルをへて,パリの左扉口でその形式は定まるのであるが,使徒たちにかこまれた聖母の死の場面,その上に復活した聖母が天上でキリストから戴冠される場面,それに旧約の預言者たち,王たちをともなうのがこの聖母礼賛図像の中心要素で,扉口中心柱に幼児イエスを抱く聖母立像がおかれる。表現は史伝的であるよりは超時間的で,13世紀ゴシック彫刻の理想主義を様式上にも内容上にも示している。…
【女神】より
…まさしく,古代社会において,処女が果たした神の〈聖なる花嫁〉の原型を伝えるものというべきであろう。キリスト教のマリア崇拝も以上のような背景を抜きにしてはありえなかったものと思われる。 日本においては,折口信夫による常世国(とこよのくに)のまれびと神来訪とその歓待につくす処女の役割に関する民俗学的研究(《常世及びまれびと》)が,古代における女神信仰の原初的形態を示唆する興味深い資料を提供している。…
※「マリア崇拝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」