マルサスの人口原理(読み)まるさすのじんこうげんり

世界大百科事典(旧版)内のマルサスの人口原理の言及

【収穫逓減の法則】より

… 1760年代に重農主義者のチュルゴによって初めて主張され,ウェストEdward West(1782‐1828),マルサス,リカードらの古典派経済学者によって定式化された。とりわけマルサスの人口原理(人口法則)は,この法則に暗黙のうちに依拠しているものとして有名である。すなわち人口原理によれば,時間とともに人口は等比級数的に成長するが,食糧生産は等差級数的にしか増加しない。…

【マルサス主義】より

…イギリスの古典派経済学者マルサスが主著《人口論》(初版1798)で主張した人口原理ないし人口政策のこと。マルサスの人口原理の骨子は,(1)人間の生存には食料が必要であること,(2)人間の情欲は不変であること,しかし(3)食料は算術級数的にしか増加しない(のちに〈収穫逓減の法則〉と呼ばれるに至ったもの)のに対し,人口は幾何級数的に増加すること,したがって(4)人口は絶えず食料増加の限界を超えて増加する傾向があること(なお,このようにして増加した人口は〈絶対的過剰人口〉と呼ばれ,マルクスの〈相対的過剰人口〉と区別される),(5)絶対的過剰人口はマルサスによって〈積極的抑制positive check〉と呼ばれた〈貧困と悪徳〉によって食料増加の限度内に抑圧される。このような人類の悲惨な過剰人口の宿命を論じた初版に対する学界の強い反対論に対し,マルサスは第2版(1803)において,〈道徳的あるいは予防的抑制〉の概念を導入した。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」