世界大百科事典(旧版)内のラーヤモンの言及
【アーサー王伝説】より
…これが《ブリテン列王史》に記されたアーサー王の伝説的生涯の原型であるが,後年〈宮廷風恋愛〉に基づく円卓騎士団の恋愛物語(ロマンス)や,〈聖杯伝説(聖杯探究の物語)〉等々が加えられ,さらにまたトリスタンとイゾルデの悲恋物語とも結びつき,アーサー王伝説は膨大な物語群に発展していった。その発展について概観すれば,まずアングロ・ノルマン人ワースの《ブリュ物語》(1155)は,《ブリテン列王史》に基づく,フランス語韻文による年代記の代表作であり,これを典拠として,イギリスではラーヤモンが英語の韻文による《ブルート》(13世紀初め)を書いた。さらに,中世フランス最大のロマンス作者,クレティアン・ド・トロアは,《エレックとエニード》《ランスロまたは荷車の騎士》等の諸作品によって,アーサー王伝説に基づく宮廷風騎士道物語に新領域を開拓し,また《ペルスバルまたは聖杯物語》によって,アーサー王伝説に初めてキリスト教の倫理とその神秘思想を導入した。…
※「ラーヤモン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」