三一権実論争(読み)さんいちごんじつろんそう

世界大百科事典(旧版)内の三一権実論争の言及

【一乗】より

…これを《法華経》の〈一乗開会(かいえ)〉という。中国唐代以来,天台宗・華厳宗と法相宗との間で,三乗・一乗の方便・真実を争う議論がくりかえされ,これを三一権実論争という。日本では,最澄と徳一との論争が有名である。…

【最澄】より

…平安初期の僧。日本天台宗の開祖。俗名は三津首広野(みつのおびとひろの)。近江国(滋賀県)滋賀郡古市郷の生れ。12歳のとき近江国分寺に入り,国師の行表(ぎようひよう)の弟子となり,14歳のとき国分寺僧の補欠として得度し名を最澄と改めた。785年(延暦4)19歳のとき東大寺の戒壇で具足戒(小乗戒)を受けたが,この年7月,世間の無常を感じ,突如として比叡山に登って草庵をかまえ,山林修行の生活に入った。このとき作った〈願文〉には,峻厳な自己内省と,衆生救済への志向とがうかがわれる。…

【徳一】より

…僧侶の奢侈をにくんでみずから粗衣粗食し,民衆教化にも力を尽くして大いに尊ばれ,菩薩とたたえられた。817年(弘仁8)から21年にかけて最澄との間でおこなった〈三一権実(さんいちごんじつ)論争〉では,《仏性抄(ぶつしようしよう)》《中辺義鏡》《慧日羽足(うそく)》《遮異見章》などを著し,天台宗の教学を批判した。空海も,徳一に手紙を送って密教経典の書写に協力をもとめており,東国の辺境にあって,平安新仏教に対抗しうる学徳ともに優れた人物であったといえる。…

※「三一権実論争」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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