《三悪人》(読み)さんあくにん

世界大百科事典(旧版)内の《三悪人》の言及

【隠し砦の三悪人】より

…戦国時代,男に変装した姫君(上原美佐)を護衛して,忠臣の武将(三船敏郎)が,金に目のくらんだ愚かな2人の百姓(千秋実と藤原釜足)をうまく味方につけて,少数のゲリラ部隊のように敵中突破するという,日本映画には稀有(けう)なスケールの大きい骨太の大活劇。〈三悪人〉は,黒沢明の敬愛するジョン・フォード監督のサイレント時代の西部劇の名作の一本《三悪人》を想起させるし,〈敵中突破〉のテーマは,黒沢明がそれ以前に書いていたシナリオ《敵中横断三百里》(1957年,森一生監督によって映画化された)につながる。冒頭の百姓2人組の喧嘩道中は,ジョージ・ルーカス監督《スター・ウォーズ》(1977)の2人組のロボット,R2‐D2とC‐3POのコンビを生みだす原点になった。…

【フォード】より

…ジョン・ウェイン,モーリン・オハラ,ビクター・マクラグレンなどの人々は〈フォード一家〉と呼ばれてファンに親しまれた。 開拓史上有名な土地争奪戦(いわゆる〈ランド・ラッシュ〉)を背景に,若い恋人たちを守って戦う心優しい無頼漢たちを描いた《三悪人》(1926),愛するわが子たちを次々に戦争に奪われるドイツの母の悲劇を描いた《四人の息子》(1928),伝染病と戦い,愛妻を失う一医師の人生を描いた《人類の戦士》(1931),アイルランド独立戦争のさなか自由へのあこがれから親友を売って自滅する愚直な男を描いた《男の敵》(1935),〈ウィル・ロジャース三部作〉とよばれる人情味あふれる豪快な喜劇,すなわち《ドクター・ブル》(1933),《プリースト判事》(1934),《周遊する蒸気船》(1935),スタインベックの名作の映画化《怒りの葡萄》(1940),ウェールズの一鉱山の盛衰とそこに生きた一家族の明暗を描いた《わが谷は緑なりき》(1941),詩的西部劇の傑作として名高い《荒野の決闘》(1946),ときにシリアスにときにユーモラスに西部辺境の騎兵隊の生活を描いた〈騎兵隊三部作〉として知られる《アパッチ砦》(1948),《黄色いリボン》(1949),《リオ・グランデの砦》(1950),アイルランド気質あふれるコミカルな人情劇《静かなる男》(1952),インディアンに奪われた少女を探し求める男の執念と孤独と憎しみの旅路を描いた《捜索者》(1956),古き西部の終焉を描いた《リバティ・バランスを射った男》(1962),白人に追われるインディアンの一群の生れ故郷への悲惨な大移動を描いた《シャイアン》(1964)……。フォードの作品歴は,契約監督時代と独立プロ時代に大きく分けられ,前半は22歳(1917)から第2次世界大戦直後の51歳まで,後半は52歳(1947)から71歳(1966)までとなる。…

※「《三悪人》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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