世界大百科事典(旧版)内の世界資本主義論の言及
【経済史学】より
…すなわち,一方で,歴史事象の数量的・統計的把握,とりわけ計量経済学モデルによる検証を試みる〈新しい経済史〉(数量経済史,計量経済史)の台頭があり,他方では制度史的接近や社会史・生活史の立場,経済人類学あるいは歴史人口学的アプローチなどが存在する。さらに,世界資本主義論など,経済史研究における国際的契機の強調,とりわけ,旧植民地諸地域における〈低開発の発展〉を重視しつつ,総じて16世紀以降の各国経済史を世界市場における〈支配と従属〉の変遷史として総括し再構成しようとする従属学派ないし世界システム論も注目を集めている(従属論)。 ともあれ,歴史は〈過去と現在の対話〉であり,経済史も過去の経済現象のうちから現在的問題関心から重要と思われる事実や関係を選択し,歴史像として構成し叙述する。…
【国際経済学】より
…これを総論として,マルクスの経済学批判プラン,国際価値,資本蓄積と外国貿易,国際分業,移民,資本輸出,国際的決済機構などが内容的には個別論を形成する。しかし,世界経済は唯一の実体か,それとも各国民経済の集合体なのかの理解の差がこの学派の色彩を二分し,前者はとくに〈世界資本主義論〉といわれる。 資本主義の全世界的な帝国主義への転化(19世紀末)につれて,この学派の関心は民族独立運動,軍国主義,保護関税,農業保護,小農と産業プロレタリアートの問題に移った。…
【従属論】より
…しかし一方では,民族や国家などのナショナルな枠組みの欠落,世界市場との包摂関係という流通面のみをみる生産関係欠落論,低開発の外因決定論であるという指摘などからなる批判をも浴びている。ともあれ,16世紀以来の世界史を被支配周辺部からみようとする周辺史観,低開発を一国ごとではなく世界システムのなかに位置づけようとする世界資本主義論,といった従属派に共通の視座の強調という点において,フランクによる貢献は大きい。 日本において紹介ずみ,あるいは紹介されつつある他の論者・著書には以下のものがある。…
※「世界資本主義論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」