世界大百科事典(旧版)内の中統鈔の言及
【貨幣】より
…その意味で元の銀本位制の採用は中国の貨幣史上,きわめて画期的である。元は紙幣を主要な通貨として一貫して使用したが,国初に制定した中統元宝交鈔(中統鈔)を一代を通じて用い,これに新たに発行する紙幣と併用させた。中統鈔は1260年(中統1)に発行され,南宋征服前後に兌換制度の廃止により大きく騰貴して以来,騰貴しつづけ,1346年(至正6)以後は財政難から紙幣が濫発され,ついに破局を迎えた。…
【元】より
…といって領内に銅・銀の産地を持たない元朝としては唯一つ信用度の高い紙幣を発行して経済の安定を図る以外に方法はない。1260年(中統1)に発行された中統鈔は,準備金を備えて金銀との兌換を認めるほか税糧を除く全公課の紙幣納を許すという保証によって裏付けられていた。この措置が効を奏して交鈔が円滑に流通するのに自信を得た元朝は,南宋平定後の江南に対しても南宋会子を50対1の割合で中統鈔に交換させる一方,銅銭使用を禁止し,もっぱら中統鈔による通貨の統一を推進し,かつこれに成功したのである。…
※「中統鈔」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」