世界大百科事典(旧版)内の仮現説の言及
【イグナティオスの手紙】より
…まずスミュルナにおいてエペソ(エフェソス),マグネシア,トラレス,ローマの諸教会にあてて,次にトロアスにおいてフィラデルフィアとスミュルナの教会およびスミュルナの監督ポリュカルポスにあてて書かれた。これらに共通している内容は,諸教会の好意に対する感謝,教会の一致団結の勧め,仮現説(地上のイエスの生涯や受難を現実ではなく単なる仮象とする説)とユダヤ教化への警告,シリア教会に使節を派遣することの依頼などである。ローマあての手紙では,信徒たちに彼の助命運動を止めて,キリストの受難にあずかる殉教の死を遂げさせてくれるよう頼む。…
【受肉】より
…グノーシス派によれば,これは人間が肉の中に隠れた神性を発見することにほかならず,それゆえ肉体は霊魂の仮の宿にすぎないとされる。これを〈仮現説docetism〉という。ヨハネはこれに対し,受肉を十字架と復活の前提としただけでなく,ロゴスのできごととして意味づけ象徴化したのだといえる。…
※「仮現説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」