便換(読み)べんかん

山川 世界史小辞典 改訂新版 「便換」の解説

便換(べんかん)

飛銭(ひせん)

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の便換の言及

【為替】より

…当時の大都市で櫃坊(きぼう)や金銀鋪(銀行の一種)が起こり,大規模商業が勃興したが,鋳銭量が限られ,地方での通貨流通も円滑でなかったので,飛銭に代表される為替制度が生まれた。飛銭は便換(べんかん)ともいわれ,商業が大発展した宋代,970年(開宝3)に官設の便銭務が設けられ,年間300万貫の為替を発行して,中央や北辺の軍需や財庫を満たす商人の活動を助けた。民間の信用授受もこれに並行して拡大し,唐の櫃坊,唐宋の便換,五代・宋の賖(しや)(長期金融)の制度の発達の結果,四川成都の豪商が交子鋪(こうしほ)(約束手形発行業)の組合をつくり,のち1023年(天聖1),これを政府が接収して交子務が成都におかれ,交子(のち銭引)は紙幣の機能に転じ,北宋末で7000万貫が流通した。…

【交子】より

…交子は銭財を交付したことを示す証票という意味の呼称である。中国で手形の利用が盛んになるのは唐代からで,唐の長安には寄附鋪,櫃坊(きぼう)などと呼ばれ,他人の銅銭や金銀絹帛などの貨幣的物貨を預って預り手形を発行する業者がいて,その手形が市中の取引に用いられ,また長安と地方大都市とのあいだの送金為替手形の取組み(便換,便銭,飛銭)も盛んであった。宋代になると寄附鋪は州・県などの都市にも普及し,したがって手形も普及した。…

【飛銭】より

…中国,唐の憲宗時代に生まれ唐代後半期に行われた為替手形。便換ともいう。当時は貨幣経済が発達し長距離の交易が盛んになったが,遠隔地への銅銭の携帯が不便であったこと,両税法の施行で銭納化した租税の税収を地方から中央へ輸送することが不便かつ困難であったこと,銅銭不足の深刻化で各地の藩鎮(節度使)が領内の銅銭の境外への流出を禁止したことなどが,この制度の成立を促した。…

※「便換」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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