先天性胆道閉鎖(読み)せんてんせいたんどうへいさ(その他表記)congenital bile duct atresia

知恵蔵 「先天性胆道閉鎖」の解説

先天性胆道閉鎖

肝臓十二指腸の間にある胆道が、何らかの原因で閉鎖している病気。肝臓でつくられた胆汁が、十二指腸に排出できずに肝臓にたまり肝細胞を破壊する。ビリルビンという色素が血液中に回って黄疸(おうだん)が見られ、放置すると肝硬変になる。治療は早期発見し、胆道の閉鎖状態を取り除く外科手術(葛西式)を行う。手遅れになると、肝移植しか方法がない。早期の症状は黄疸と白色便。生後1カ月を過ぎても黄疸が続き、便は薄い黄色やレモン色、灰白色で、白目が黄色、黄緑色を呈する場合は要注意母乳栄養乳児では黄疸が長く残ることがあるが、先天性胆道閉鎖症とは異なり便の黄色調が強い。

(中村敬 大正大学人間学部人間福祉学科教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

世界大百科事典(旧版)内の先天性胆道閉鎖の言及

【黄疸】より

…したがって,肝外胆汁鬱滞は閉塞性黄疸あるいは外科的黄疸とも呼ばれる。具体的な疾患として,胆囊胆管系の結石,胆囊炎,膵炎,胆囊癌,胆管癌,膵癌,ファーター乳頭部癌,原発性および転移性肝臓癌,術後良性胆道狭窄症,先天性胆道閉鎖症などがあげられる。
[黄疸の診断]
 黄疸の診断には,既往歴,家族歴が重要な情報を提供するので,問診を詳細に行う。…

※「先天性胆道閉鎖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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