世界大百科事典(旧版)内の八千矛の神の歌の言及
【記紀歌謡】より
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[形式と種類]
歌謡は実際にうたわれるものであるためその言葉(歌詞)は音楽(旋律)と不可分の関係をもつが,記紀歌謡の場合,さらに人間の所作(舞踊)が結びついていた形跡が著しい。たとえば《古事記》の〈八千矛(やちほこ)の神の歌〉の冒頭部をあげると,〈八千矛の 神の命(みこと)は 八島国(やしまくに) 妻枕(ま)きかねて 遠々(とおどお)し 高志(こし)の国に 賢(さか)し女(め)を 有りと聞かして 麗(くわ)し女を 有りと聞こして さ婚(よば)ひに 在(あり)立たし……〉のように,歌詞が2句ずつ正確に切れている様がうかがえる。この歌は1首が約40句20行にわたる長さを持ち,そうした歌が4首,八千矛の神と沼河日売(ぬなかわひめ)および妻,須勢理毘売(すせりびめ)との掛合いの形で構成されている。…
※「八千矛の神の歌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」