出入物(読み)でいりもの

世界大百科事典(旧版)内の出入物の言及

【裁判】より

…もっとも公事宿は訴訟代理権を欠く訴訟補佐人にすぎず,庶民はその策略的技術を嫌って,内心は尊敬していなかった。(2)裁判手続の種類 幕府の裁判は手続上吟味筋出入(でいり)筋に分かれ,その対象を吟味物と出入物もしくは公事と称した。吟味筋は職権主義的な糾問手続で,原告たる検察官はなく,〈御用〉として刑罰権の実現を目的とする刑事裁判と見てよい。…

【済口】より

…江戸時代の民事裁判手続(出入筋(でいりすじ))において,和解(内済(ないさい))が成立すること。民事事件(公事(くじ),出入物)では奉行所は終始内済を勧めるのであって,裁判のどの段階においても内済することが可能である。親類,町村役人のほか,寺院や公事宿(くじやど)(訴訟関係者の宿泊する宿屋で,主人・下代は弁護士類似の役割を果たす)などが仲介者(噯人(あつかいにん)・扱人)となるのが通常であった。…

【出入筋】より

…刑事裁判手続たる〈吟味筋(ぎんみすじ)〉に対する概念であるが,可罰的事案が出入筋で裁判されることもある。出入筋の訴訟事件を〈出入物(でいりもの)〉あるいは〈公事(くじ)〉と称し,これに〈本公事(ほんくじ)〉と金銭債権に関する〈金公事(かねくじ)〉の別があって手続を若干異にした。江戸時代には,当事者の人別(にんべつ)地を支配する領主がそれぞれ裁判権を有したが,他領・他支配に関連する訴訟,すなわち〈支配違(しはいちがい)え懸る出入〉や,武家を相手取る場合などは,原則として幕府評定所の管轄となる。…

※「出入物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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