出百姓(読み)でびゃくしょう

世界大百科事典(旧版)内の出百姓の言及

【出作り】より

… このような性格の出作りは所有関係の安定化という立場からみればもちろんマイナス面をもっていたが,領有関係の錯綜に規定されて農民の現実の耕作地と所領とが一体化しない中世においては,避けられない現象であり,農民にとっては領主の全一的支配を制約する安全弁としての意味ももっていた。【義江 彰夫】
[近世]
 近世の新田村では,他村から入ってきた百姓を〈新田出百姓〉というのが普通であって,この場合には,古村を出て新田に入ってきた百姓を意味する。つまり出作りは通例の場合の出入作の一表現であり,出百姓は新田入村民を指すようである。…

【走者】より

…中世における,領主・主人・村からの逃走者の呼称の一つ。逃者・逃人・出百姓(でびやくしよう)などともいう(《相良氏法度》《塵芥集》〈高梨文書〉)。逃亡を〈走る〉と表現する例は中世に広くみられるが,走者という語法はそれほど一般的ではない。…

※「出百姓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」