世界大百科事典(旧版)内の割地制の言及
【割地・地割】より
…そのいずれが正しいかをにわかに決定することはできないが,ただ最後の班田遺制説は近世封建制下の割地を近世土地制度の例外的現象として把握し,総有関係あるいは共有関係として理解し考察したもので,今ではほとんど問題にならず,割地もやはり近世封建制下の産物であるとする考え方の方がむしろ定説となっている。すなわち近世封建時代はまだ農民の土地所有権が不安定な時代で,封建領主は唯一の財源ともいうべき貢租の収納に連帯責任,連帯担保の政策をとり,農民の持高の均等化を図り,耕地の等質化をねらうことが,貢租担当者である封建的自営農民の転落分解を阻止して一定の貢租を確保するうえにも便利であったので,1村ないし数村の農民の合意によって村共同体の慣行として行われていた割地制を藩の政策として採用したのである。
[藩型割地制と村型割地制]
このように割地制には,(1)藩によって藩単位に実施された藩の制度としての割地制(藩型割地制)と,(2)農民によって村単位に実施された村の慣行としての割地制(村型割地制)とがあった。…
※「割地制」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」